1 年前、仕事の評価について何を考えていたか

成果主義導入が叫ばれて久しいですが、当然成果主義を導入するにあたり、メリット/デメリットがあります。以下の文章は、私が 1 年前に「もし新しい評価制度を導入するとしたら、こういう軸で評価してみたらどうだろう」と書いたものです。

1 年前に何があったかというと、いまの勤め先の会社で評価制度を見直すかもしれないという話が上がりました。(いま現在、評価制度に変更はありません)

成果主義導入について、賛成/反対派のどちらかと言われれば、私は賛成派に属すると思います。ただ、今の日本を見ると、成果主義がうまく機能していないのは明かで、雇用形態は大きく崩れてしまいました。「人件費は劇薬でありコストカットとしては最後の手段」と言われています。そのため、成果主義の導入により人件費カットを味わってしまった企業は従来の雇用形態に戻したくても戻せず、逆に従来の雇用形態のままで行き詰まっている企業もあると思います。

自分自身の 2009 年度を振り返りも含めて、1 年前はどんなことを考えていたか、この 1 年間どうだったのか。いい機会なので、blog にアップすることにしました。

この文章は私の考えをまとめただけのものですから、雇用形態が変わるわけでもありません。これを読まれたみなさんが、少しでも自分の置かれている雇用形態、勤務形態に興味を持っていただければ幸いです。

1) 成果主義導入によるメリット/デメリット


成果主義導入よりこんなメリットが生まれるのではないか?


・業績に応じて人件費をコントロールできる(会社側のメリット)
・優秀な社員の意欲高揚(会社側)
・社員の成果志向の醸成(社員側)


成果主義導入により生まれることが予想されるデメリット


・社員間であからさまな処遇格差が生じること
・格差が生じることにより、「少数の優れた社員」と「大多数の普通の社員」が生まれること
・この「大多数の普通の社員」が、チャレンジ精神を持つことができるか、チャレンジ精神を持って格差を乗り越えられるか。また乗り越えようとする努力が生まれるか


2) 評価方法について


では評価軸をどう置くべきか。評価の仕組みを考えてみる


成果主義と従来の雇用形態のハイブリッド


評価方法を、以下それぞれ 3 つの軸に対する評価とする


・業績(全社、事業部、所属部署、チームなどの業績に影響を与える個人目標および結果)
・能力(いわゆる職能と呼ばれるもの。所属部署が求める能力やスキル)
・行動(会社が求める人物像としての行動)


この 3 つを評価の軸として、以下を十分に考慮することが重要となる


・設定目標以外の業務も十分に評価される仕組みにする
 (成果だけでなくプロセスも評価する仕組み作り)
・ルーチン業務が中心の職種については、思い切って目標管理を止めてしまう
 (ルーチン業務に落とし込むこと、ルーチン業務を例えば派遣社員に渡すことを評価のひとつにしてもいい)


3) 給与への反映


いくらプロセス評価をおしなべても、結果によっては社員間に格差が生じる。それを良しとするかは会社と社員、それぞれの文化や人材によって変わってくるだろうが、「大多数の普通の社員」に不満が生まれることは十分に考えられることである


「大多数の普通の社員」のやる気を削ぐことへの対策


・月給(基本給。職能給)については、一定水準でのベースを確保
・賃金の増減は賞与で行う


つまり、給与に差が生まれると「大多数の普通の社員」のやる気が削がれてしまうおそれが高いため、ある水準でキープをする。そして評価による差は賞与で行うことで、「少数の優れた社員」のやる気も削がないようにする


業績/能力/行動について給与のそれぞれの反映


・能力と行動評価は基本給に反映する
・業績評価は一時的なインセンティブとして反映(つまり賞与)